山野浅里レビュー【No.2】ayaradio727「RESPECT〜伝えたいことば〜」

REVIEW

幸運にも音楽ライターの山野浅里さんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。

§RESPECT~伝えたいことば~

ayaradio727は続く8月13日に2作目を発表している。実際の制作期間は分からない。しかし「1曲作れた」ところから約2週間後に本作が発表されていることから、創作が一時的な高揚ではなく楽想またはテーマについては一定程度のアイディアがいくつかあったのだろうと想像する。そのうちの一つが本作に使われているのではないか。

この曲では楽想に注目したい。冒頭はアルペジオが耳に残るイントロに続き、1曲目(Not Too Late)同様にシンプルなコードワークを中心に楽曲が進むが1:40あたりからカウントが入りリズムが立ち上がりはじめる。この展開からギターソロを経て再び冒頭のメロディーに戻るところで冒頭のメロディーがあらためて浮き彫りにされる。そのことによってayaradio727の楽曲の特徴にもなっている山脈を伝うような、自由詩の詩人のような作風が2曲目にしてすでに提示されていることが分かる。

そこで歌詞をあらためて読み込むと、赤裸々な表現が随所に散りばめられている。日本語詞だけをみても、「ストックないよ」「つたえられなくて」は予兆に満ちているし、また「I wanna tell you Ureshii and Arigato」といった日英自在に揺らぐ場面は言葉を言葉としてとらえる以上に、母語への揺さぶり、言葉を通じた対話の距離感などバックグラウンドの動きを思わざるを得ない。

こうした身を削るような表現に向き合うアーティストは世の中には必ずいる。しかし多くの場合、作品の輝きは本人の魂の消耗と引き換えのように感じる。作品が胸を打てば打つほど本人は消耗するということがあるのだ。ところがayaradio727はこの楽曲以降も創作を継続する。それだけ思いは深いということなのかもしれない。そこに魅了されるのはリスナーのみならずクリエイターも同様ではないかと思う。

Y.ASARI

この曲のMVはこちらです↓

ayaradio727
ayaradio727

この曲を作ったときに感じていたある人への強い憧れやRESPECTの気持ちとその頃の自分自身への「自分なんて・・」という正直な思いとの対比を「赤裸々な表現」と評して心の動きに注目して下さったことが嬉しいです。

山野浅里さんのNoteはこちらです↓

ASARI|note
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