山野浅里レビュー【No.16】ayaradio727「AROUND40」

REVIEW

幸運にも音楽ライターの山野浅里さんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。

§AROUND40

本作ははじまりのライトフライプロデュース2作目にあたる。同氏プロデュース2作はあくまで結果論だが表裏一体の関係性を感じる。特に「帰京」というタイトルが持つイメージと「AROUND40」というタイトルが持つイメージはどちらも一定程度の経年を感じさせる共通点がありながら、比較的対極に、あるいは表裏の関係にあると受け止めた。また「帰京」の静的なMVに比して、「AROUND40」の圧倒的動的なMVもまさに好対照と言える。

そこでまずこの躍動感あるMVに触れたい。MVは本人による演技としてタイトル通り40を巡ってくるくると回転する様子が映されている。なおMVでは36回までカウントが表示されているがその後も彼女の回り続けるシーンが続く。この36回までカウントした(あるいは撮影動画はそこまで、37回以降はシーン切り替えあるいはカウントしない)という点を興味深く受け止めた。

楽曲は極めてシンプルなループを軸に構成されており、はじまりのライトフライプロデュース作のセオリー通り、言葉を引き立てることに徹している印象だ。ただしリズムトラックとアコースティックギターのカッティングをを模した組み合わせはどことなくアヴァンソウル的な歪みもあり本作以降の自身の音楽性にもつながる部分ではないかと思う。

過剰にパーフェクトライムを目指した言葉は拍の置き方を含めてMCとして完成しており、本人解説によると特に「ラップミュージックの面白さにうっとり」の部分に着目しているが、他含めてミニマルな楽曲展開に楽想を持たせている言葉とそれを支える妥当なテクニックがとても心地よい。

Y.ASARI

この曲のMVはこちらです↓

ayaradio727
ayaradio727

この曲はMVを褒めてもらうことが多くてワンアイデアでただひたすらにくるくる回るだけなのだけれど(回るアイデアははじまりのライトフライさん提案)楽しんでいただけたという声を聞いて嬉しかった。「帰京」よりずっとラップとしては難易度が上がって難しかった「AROUND40」を機に活動の幅も広がっていってどんどんと外に向かって表現していく「アラフォー」新時代に突入したと言えるのかもしれない(笑)

山野浅里さんのNoteはこちらです↓

ASARI|note
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