山野浅里レビュー【No.23】ayaradio727『A Night of Fishing in the Starry Sky』

REVIEW

幸運にも音楽ライターの山野浅里さんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。

§A Night of Fishing in the Starry Sky

2022年後半から2023年にかけて彼女はさまざまなコラボレーションやコンピレーションの企画、朗読等活動の幅と表現の方法を広げる一方、自身の音楽活動の原点になるayaradio727のソロ作品は発信されていなかった。本作はその観点からは久しぶりの作品になる。また、至近でもコラボレーション作品においてインスト曲の発表はあったが本格的なインスト作品は2021年8月以来なのでその意味でも久しぶりの作品になる。

冒頭に示した通り、本作はインスト曲によって構成されている。どの楽曲もこれまでのインスト作品同様にアンビエント色の強い作風だ。しかし本作は加えて環境音楽的な要素やこれまでに発表されている朗読作品を踏まえた表現の奥行きを感じる。

本作のコンセプトはある童話を元に作られたようだ。物語に沿ったサウンドイメージが展開されているのだろうと思う。アルバムタイトルから物語は天体や星座に関する内容を想像する。そう考えると煌めく高音、柔らかな中音、そっと支える低音が入り混じるサウンドは静かで小さく、想起する光景は輝き広大なアンビエントスケープが見えてくる。

粒立ちの良い電子音を軸にしたノンビートの静かなフレーズが時に即興詩人にように、時に童謡のように奏でられる。音色は概ね統一されており、9曲通して一つの組曲のように響く。とても美しい。

Y.ASARI

このレビューの元となったアルバムはこちらです↓

(アルバムなので埋め込みできないみたいなので「YouTubeで見る」をクリックしてください)

ayaradio727
ayaradio727

物語を音で表すにはどうしたらいいんだろう。そんなことをぼんやりと考えながらも、実は考えるのではなく感じるままに物語に促されるままに作曲していったのがこのアルバムの曲たちだ。星空を音にするってことは、星はいったいどんな音をしているんだろうと想像しながら気ままに創造してゆくとても楽しい旅だった。このアルバムから新しくまた表現の可能性が見えた気がして私自身すごく嬉しいので、どうか一度だけでも聴いてもらえるといいのになぁって思ってます。

山野浅里さんのNoteはこちらです↓

ASARI|note
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