山野浅里レビュー【No.24】ayaradio727,Like This Parade,The 15min Orchestra『Brilliant Blue Nemuru Diary』

REVIEW

幸運にも音楽ライターの山野浅里さんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。

§Brilliant Blue Nemuru Diary

アンビエント色の強かったソロ名義の前作「A Night of Fishing in the Starry Sky」に続いて自身初のフィジカル作品としてCD付き絵本「Brilliant Blue Nemuru Song Book」を発売したayaradio727による本作は絵本のサウンドトラックをベースに再編集した配信EPになる。絵本に付属するCDでも使われたリードトラックBrilliant Blue Nemuru Songや、クラシカルなAdagio For Sleepless Nightに加えてCD未収録のトラックが収められている。

冒頭Brilliant Blue Nemuru Songは、ゆったりとしたラウンジ色を織り込んだボサノヴァ調の楽曲だ。その歌詞は物語とも連動するためここでは紹介を割愛するが、物語の幻想そのままの浮遊感溢れる語感に満ちたリリックだ。中間部には少し曲調を変えたサイケデリックな場面がはさみこまれており、幻想を一層引き立てている。

Adagio For Sleepless Nightは、インスト作品になるがネオクラシカルマナーに沿った小作だ。この曲の絵本の中での使われ方はとても美しい。続くNantonaku Feeling Bは牧歌的な旋律が印象的なトイポップだが絵本とは別のセッションで制作されたトラックになるようだ。本作の中では違和感なく収まっている。

最後にタイトル曲のリプライズが収録されているが、タイトル曲エンディングの印象的なリフレインが引用されている。そのバックの演奏は4ビートを刻んでおり、タイトル曲とは大きくアレンジを変更している。あくまで本編は絵本に描かれた物語だが、本作は全体を通して物語から独立して純粋に音楽としても楽しめる構成になっている。

Y.ASARI

このレビューの元となったEPはこちらです↓

ayaradio727
ayaradio727

このEPはわたしの作品の中でも特別なEPとなりました。この音楽からストーリーが生まれて絵本とCDがセットになったSong Bookを作ることになり、自分のしたかった表現を音楽を元にして自由にイメージの世界を広げられた作品だからです。この曲を運んでくれたブルーのお部屋、ブリリアントブルーのカーテン、グアテマラ・ペニャロハのコーヒーのラベル、、、表には出ない形での強力なサポート、穏やかで豊かな時間、過去の眠れなかった記憶、、、そのすべてに感謝したいです。このEPが長く聴いていただけるものになったなら嬉しいです。

山野浅里さんのNoteはこちらです↓

ASARI|note
音楽について書きます。 (15min recordsお手伝い中:X Twitter @15minrecords)
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