幸運にも音楽ライターの山野浅里さんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。
§Some Kind Of Pianissimo Diary EP
Y.ASARI
収録された3曲はいずれもとても静かなトーンに満ちている。カバーアートに象徴されるようなあるがままの質感がそのままパッケージされている。削ぎ落とされた言葉、削ぎ落とされたサウンド。抑制されたフィーリングで歌われる世界は、とてももろく淡い。それ故に情感がダイレクトに伝わってくるようだ。
冒頭のPianissimoは、メロウソウル風のゆったりしたリズムと和声がとても美しい。音と音が混ざり合い、溶けてしまいそうな曖昧な質感が時折紛れ込む。その瞬間に放たれる情感にとても惹き込まれる。心象の微かな前後動が湖面を静かに揺さぶるように、歌われる世界に切り取られた光景がゆっくりと心に語りかける。素晴らしい。
PianissimoのMVは、ひたすら水面が写されている。水面に浮かぶわずかな揺らぎが画面いっぱいに広がっていく。やがて一筋の色彩が示される。揺らぎの中で色彩は滲んでいく。具象と抽象の合間を縫うように作られた映像は歌同様にとても淡い。
続くインスト、359 Pianoは、シンプルなピアノとリズムボックスを軸にした楽曲だ。フィールドレコーディングされた外気がそのまま記録されていることが分かる。最後に、Dolceという楽曲が収録されている。こちらもインストになるがアンビエントスケープが強調された静謐で美しいトラックだ。
このレビューの元となったEPはこちらです↓

日常の中から生まれる音楽。いい時もそうでない時も常に揺れ動きながら変わりながら生きていることの証を「揺らぎ」は「揺らぎ」のままに残したかった、そんなフィーリングが詰まったEPをリリースすることができて、それもわたしがちょうど体調を崩していた時期と重なっているのがなんだかわたしらしくていいなぁと思っている。
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