山野浅里レビュー【No.20】ayaradio727「Not Too Late – Now I’m Here version (Original 01 I’m not there Mix)」

REVIEW

幸運にも音楽ライターの山野浅里さんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。

§Not Too Late – Now I’m Here version (Original 01 I’m not there Mix)

ayaradio727-NTLであらためて彼女自身の音楽活動のキーワードでもある”not too late”に向き合ったのが2021年12月、本作はその9ヶ月後、2022年8月に公開されている。オリジナルトラック「Not Too Late」は2020年7月、そこから2年1ヶ月が経過したことになる。オリジナルトラックとの単純な比較で一聴して分かるのは歌い方の変化だろう。メロディーのたどり方、ラップ、いずれも表現の奥行きが増している。


歌詞は本人の解説もあるが、オリジナルトラックから見直された箇所がある。それは楽曲後半に繰り返されるフレーズ「もう一度好きなことやってみよう(Let’s do it again what you love)」の「私の作った曲と共に私は今ここにいる(Now I’m Here with all my songs)」への置き換えだ。この置き換えにふさわしい表現の奥行きを感じさせるヴォーカルが素晴らしい。


トラックはイントロのアンビエントスケープでHer Little Gardenに明確なアプローチがあった彼女のこの時期のスタイルを基調にしてはじまる。フックの部分もリズムトラックは入るが全体としてリズムは削ぎ落とされており空間を意識したアンビエント感が美しい。


MVは自身のメモやイラストを挿入したオリジナルトラックのアプローチと比較するとまず色彩が鮮やかになったように思う。多様な表現を実現した彼女の安定感にもつながるであろうこの違いは大きい。随所に自身と思われる過去のスナップや、これまでのMVのシーン等が挿入されている。シリアスさと同時に遊び心も挟み込まれており巧みな仕上がりだ。本作の前後には、多くのコラボレーション作品が発表されている。Like This Parade、loveles、はじまりのライトフライ、MC凪等、それらのコラボレーション作品はここでは割愛するが、どれも自身の持ち味を活かした作品を披露しており創作の充実期を感じる。

Y.ASARI

この曲のMVはこちらです↓

ayaradio727
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ayaradio727の活動の大きなテーマである”not too late”の2022年8月時点での完成形、Now I’m hereバージョンをもASARIさんがレビューの対象として選んでくださって1曲目の「Not Too Late」との表現の変化を感じ取ってこうして言葉にしてくださるおかげで、わたし自身も時間の経過と共に、ときに薄れそうになる初期衝動を再確認することができた。この曲は9曲目の「I’m not there」からのフレーズを組み込んだことにより、”not too late” → “Now I’m here with all my songs”に至るまでには「そこにはいないわたし」への虚無感から来る空白の時間が不可欠であったことが浮き彫りになっている。この発見は創作を重ねていくうちに気付かされたものなので、ここでも”not too late”と一歩踏み出せたあの日の自分を讃えたい気持ちでいっぱいになるし、共に歩んでくださっている、応援の形でayaradio727に関わってくださっているすべての方々に感謝したい。

山野浅里さんのNoteはこちらです↓

ASARI|note
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