2026年10月13日(火)朝8:00
『あせらないラジオ』#127をSpotify、YouTube、Apple Podcastsにて公開しました。
#127 分割案から国連総会決議181へ ― 『Your Voice Across the Sea』を作るということ
「あせらないラジオ」をお聴きくださり、ありがとうございます。
今回は、
「パレスチナを知る、“遠い”誰かを“遠い”ままにしないための第一歩シリーズ」第10回です。
【前半・歴史パート】
前回取り上げたUNSCOP多数派の「分割案」について、さらに具体的に見ていきます。
1947年当時のパレスチナの人口構成と土地所有。
提案されたユダヤ国家・アラブ国家・国際管理下のエルサレムには、それぞれどのような人々が暮らすことになると想定されていたのか。
そして、UNSCOPの提案が国連でどのように議論され、
・分割案を具体化する第1小委員会
・パレスチナを分割せず、ひとつの独立国家とする案を検討した第2小委員会
による議論を経て、1947年11月29日の国連総会決議181へとつながっていったのかをたどります。
決議181は、パレスチナをアラブ国家、ユダヤ国家、国際管理されるエルサレムへと分け、二つの国家を経済連合で結ぶ計画の採用と実施を勧告しました。
しかし、その計画にパレスチナに暮らす双方の人々が合意したわけではありませんでした。
ユダヤ機関は決議を受け入れる一方、アラブ高等委員会とアラブ諸国はこれを拒否します。
この大きな隔たりを抱えたまま、パレスチナは1947年末から武力衝突が拡大する次の段階へと入っていきます。
【後半】
前回#126に引き続き、
映画『ヒンド・ラジャブの声(The Voice of Hind Rajab)』から受け取ったものへのMusical Responseとして制作した
『Your Voice Across the Sea』
についてお話しします。
映画を観た翌日に自然と浮かんできた言葉とメロディ。
制作途中で、家族から「何か嫌な感じがする」と率直な感想をもらったこと。
その言葉をきっかけに、
「表現は、綺麗で心地よいものだけでなくてもいいのではないか」
「自分はこの作品を本当に必要だと思って作っているのか」
「実際の出来事や実在する人たちを、安易に利用してはいないか」
「どのように受け取られたとしても、自分はこの作品を発表したいと思えるのか」
と、あらためて自分自身に問い直すことになりました。
この映画に、そしてそこで聞いた「声」に、自分はどのように応答するのか。
曲を作る過程で考えた「表現」と「応答」、そして作品を世に出すことについてお話ししています。
番組の最後には、
『Your Voice Across the Sea – Instrumental』
をお掛けします。
今回も少し長めの回です。
一度に全部ではなくても、どうぞご自身のペースでお聴きください。
【チャプター】
00:00 オープニング
02:35 歴史パート/UNSCOP多数派の分割案
03:55 人口・土地・境界線から見る分割案
12:36 国連での審議/二つの小委員会
21:01 1947年11月29日 国連総会決議181
24:55 後半/『Your Voice Across the Sea』制作の話
30:38 表現すること・応答すること
42:48 『Your Voice Across the Sea – Instrumental』
45:26 エンディング
【歴史パート・主な参考資料】
■ United Nations Special Committee on Palestine(UNSCOP)
Report to the General Assembly, A/364
3 September 1947
UNSCOPによる調査、多数派の「分割と経済連合」案、人口構成、少数派による連邦国家案など。

■ United Nations
Yearbook of the United Nations 1947–48
“The Question of Palestine”
1947年の国連におけるパレスチナ問題の審議、Ad Hoc Committeeの設置、第1・第2小委員会の活動、決議181採択までの経緯など。

■ United Nations
Ad Hoc Committee on the Palestinian Question
Report of Sub-Committee 1
A/AC.14/34
UNSCOP多数派案をもとに「分割と経済連合」の具体的な計画を検討した第1小委員会の報告。

■ United Nations
Ad Hoc Committee on the Palestinian Question
Report of Sub-Committee 2
パレスチナを分割せず、ひとつの独立国家とする案、国連の権限をめぐる法的問題、国際司法裁判所への勧告的意見の要請、ユダヤ人難民・避難民問題を国際社会全体で扱う提案など。

■ United Nations
Report of the Ad Hoc Committee on the Palestinian Question
UNSCOP報告書を受けて行われた国連での審議と、分割案が総会へ提出されるまでの経過。

■ United Nations General Assembly
Resolution 181 (II)
“Future Government of Palestine”
29 November 1947
「経済連合をともなう分割案」。
1947年11月29日、賛成33、反対13、棄権10で採択。

■ United States Department of State
Foreign Relations of the United States, 1947
The Near East and Africa, Volume V
1947年11月25日のAd Hoc Committeeにおける分割案採決(賛成25、反対13、棄権17)について。
■ United States Department of State
Foreign Relations of the United States, 1947
The Near East and Africa, Volume V
1947年11月29日の国連総会における最終採決(賛成33、反対13、棄権10)について。
■ United States Department of State
Foreign Relations of the United States, 1947
The Near East and Africa, Volume V
フィリピンが分割案への反対姿勢から賛成へ変更した経緯について。
ロハス大統領と米国大使のやり取りを含む米国政府史料。
■ United States Department of State
Foreign Relations of the United States, 1947
The Near East and Africa, Volume V
分割案採決をめぐる働きかけについての米国政府側の認識や説明。
【映画『ヒンド・ラジャブの声』・関連資料】
■ 映画『ヒンド・ラジャブの声』日本公式サイト
The Voice of Hind Rajab
監督:カウテール・ベン・ハニア

■ Forensic Architecture
“The Killing of Hind Rajab”
ヒンド・ラジャブと親族、救助に向かったパレスチナ赤新月社の救急隊員の死亡についての調査。
※ヒンド・ラジャブの年齢について
日本版パンフレットには、パレスチナでは年齢の数え方が2通りあるため、「5歳」「6歳」の両方の表記があり得ることが記されています。
映画では「6歳」とされているため、本番組でも「6歳」に統一しています。
【Music】
ayaradio727
『Your Voice Across the Sea – Instrumental』
映画『ヒンド・ラジャブの声』から受け取ったものへのMusical Responseとして制作した作品です。
前回「あせらないラジオ #126」では、
映画『ヒンド・ラジャブの声』について感じたこと、このシリーズを続けている理由、そして『Your Voice Across the Sea』が生まれた背景について詳しくお話ししています。
あせらないラジオ#126 ▼
『Your Voice Across the Sea』Full Version▼
『Your Voice Across the Sea』
English Comment + Full Song▼
「あせらないラジオ」では、
わたし自身も学びながら、歴史的資料や複数の資料をもとに、パレスチナの歴史と現在について考えています。
いつも聴いてくださり、ありがとうございます。
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