ASARIレビュー【No.31】ayaradio727『Your Voice Across the Sea』

REVIEW

幸運にも音楽ライターのASARIさんがayaradio727の音楽を取り上げてくださることになりました。

**§Your Voice Across the Sea EP**


本作は、カウテール・ベン・ハニア監督による映画『ヒンド・ラジャブの声』に応答する形で作られた作品になる。近年のayaradio727作品の心象風景をアンビエントスケープに落とし込んだようなサウンドアプローチを軸にしつつ、初期作品に見られた山脈を伝うような、自由詩の詩人のような作風との融合によってあらためて自身の表現に立ち返るような作品に仕上がっていると思う。


Your Voice Across the Seaは、『ヒンド・ラジャブの声』の進行に沿ったメッセージが抑制されつつダイレクトなボーカルによって語られる。その上で、最後にウィスパーとして挿入された「I’ll pray again and again(繰り返し祈る)」という言葉がそれらに応答する。


Rememberingは、現代音楽的な空間にメジャーコードを軸にした和声が提示される。そこに旋律は配置されず、また和声以外のアプローチもない。タイトル曲の祈りを受けて、骨格だけを残した本作につなぐ構成に圧倒される。


Your Voice Across the Sea -Instrumental- は、タイトル曲のインストパートを軸に構成した作品になる。声を省かれた旋律は心の声を聴いているような感覚になる。ゆったりとしたアンビエントスケープに覆われた楽想は静かな低音の余韻を残しながら終える。

ASARI

このレビューの元となったEPはこちらです。

ayaradio727
ayaradio727

この作品は映画『ヒンド・ラジャブの声』への応答(Musical Response)として作りました。最初から作ろうとして作ったものではなく、映画を見終わって、自分の中から生まれてきた言葉にならない思い、怒り、悲しみ、無力感。それをできるだけ、そのままのことばで、映画から受け取ったものを残したいと思った。完成させるまでのことをよく覚えている。表現するとはどういうことか。作品を発表するというのはどういうことか。たとえどんな受け取り方をされても、これを発表したいと思えるのかどうか。その覚悟が問われている気がした。映画『ヒンド・ラジャブの声』に向き合うこと。怖がりで臆病な自分がいることも強く感じた。完成させられたこと、発表できたこと、それはとても恵まれていることなんだと感じる。これからも「応答」は続いていく、さまざまな形で。
The sea connects us.
The voices I heard crossed that sea and reached me here in Japan.

I couldn’t hear those voices and remain silent.

Even if what I can do is very small, I want to keep doing what I can.
I want to keep listening, keep responding, and keep trying to change what I can.

And I keep praying—for freedom, safety, and dignity for Palestinians.

ASARIさんのnoteはこちらです(毎日更新されています)↓

ASARI|note
Aesthetic Sound And Reflection Insight NOTE 「音聴と記録のノート」Cultural Sound Society(音聴と記録の会)音楽について綴っています。
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